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40歳を超えると自治体などで様々な健康診断が用意されていますが、30代までの健康診断は限られています。会社に勤めておられる方は、事業所検診を年に1〜2回受けることができますが、会社によっては採血もない簡易的な健診しかやっていないところもあります。そして自営業や主婦、非正規雇用の方などでは健康診断を何年も受けていない方もいます。この年代は乳がんや子宮がんを除けば、がんの不安は少ない訳ですが、生活習慣病の対応が必要な人はかなり多く、健康診断による身体のチェックは重要です。
がんへの備え「この年代でも乳がん検診・子宮がん検診は、きちんと受けましょう」
40歳までなら、乳がん・子宮がん以外のがんはほとんど発症していません。だからこそ女性の「乳がん・子宮がんの検診」は、早期発見を目指し定期的に受診してください。 40歳女性の10万人中100人前後に乳がんは発症しています。
(国立がん研究センター)上皮内がんを含めれば250人程度になります。乳がんは30歳女性でも50人近くが発症しています。一方、胃がんや大腸がんは併せても30歳で10万人中の5人前後、40歳でも10人程度です。しかもピロリ菌や便潜血検査で陰性ならばさらに低くなります。胃カメラで50万件に1件、大腸カメラでは10万件に1件の死亡事故もある(
国立がんセンター中央病院)という内視鏡検査、検便のがん検診で陰性ならば、この年代で症状も無いのに受診するかはよく検討してください。
(参考 内視鏡検査を考えるへリンク)
基本的な検査項目である事業所検診
自営業や専業主婦などで健康診断を長く受けておられない方はこちらをクリックしてください。

事業主は、職員の健康を守る立場から法律で職員への検診を義務付けられています。検診の内容は職種・年齢などにより、それぞれ検査項目が指定されており、正職員あるいはそれに準ずる従業員に対して年に1回の事業所検診や規定された回数の特殊検診などが行われています。一般的な事業所検診の検査項目は身長・体重・視力・聴力・血圧・検尿・胸部X線・採血(貧血・糖尿・肝機能・脂質など)・心電図ですが、40歳未満は採血・心電図が指定されていません。(多くの事業所では40歳未満も採血などを行っていると思いますが)
*非正規雇用の方や主婦の方などは、この事業所検診も受けていませんよね。長年、検診を受けておられない方もいるかもしれません。「事業所検診」は多くの医療機関や検診センターで個人での申し込みにでも実施されています。お住まいの市町村と「事業所検診」でネットで検索してみてください。事業所検診は競争が激しく調べれば比較的安価で実施しているところもあります。最寄りの医療機関などに「法定の事業所検診を受けたいのですが、いくらかかりますか」と質問をしてみても良いと思います。「採血・心電図のある検診」をお願いしてみてください。価格は自由競争ですので探せば数千円で受診できるところもあります。(同じ内容でも5000円〜2万円ととても幅があります)ネットなどで調べれば安いところも見つかると思いますので、自費になりますが「事業所検診の項目で検診を受けたい」と相談すれば、比較的安価で検診を受けることができます。
→たとえば「吹田市」「事業所検診」で検索してみました。
吹田市商工会議所で6700円、
相川診療所で6500円、
医療法人甲聖会紀念病院で8640円などが検索で出てきます。(2016年5月に確認しました)
→東京都の場合は区民検診が実施されています。世田谷区で調べますと月に5回程度実施されており、500円で受診できます。ただし胸部レントゲンや心電図の検査はありません。
世田谷区の健康診断一覧へリンク
*大阪府吹田市のように、一部の自治体では30歳から健康診断を無料で実施しているところもあります。
*大阪市のように15歳から結核検診と称して胸部レントゲンの検査を無料で行っている自治体もあります。
*献血時にも血液検査だけですが、事業所検診と同等の検査が実施されます。
人間ドックとまではいかなくても、追加を検討したい検査項目
健康診断はどこまでやればいいのか!というのも、余裕のあるお金次第ということになります。
会社が負担してくれる事業所検診では、生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病など)や不整脈(心電図)、結核(胸部レントゲン)、肝臓や腎臓が弱ってないか、通風くらいまではわかります。そしてある程度の問題がある所見が出れば、精査を指示されます。検診結果で異常所見が出れば、保険診療で精密検査を受けることが出来ます。(ただし、人間ドックとちがって、病院の待合室に長く待たされながらの検査となります)
しかし残念ながら一般的な健康診断は、がん検診の部分が弱いですね。がん検診などは受けておきたいですが、しかし40歳未満のがんの発症率(罹患率)が低いこと、早期発見のためにはくり返し受けないと意味がないことから難しいですよね。
厚生労働省では「がん検診のあり方に関する検討会」が2012年から開かれており、また「
科学的根拠に基づくがん検診ガイドライン」が公開されています。(
ガイドラインのパンフレット)この中で推奨されているがん検診は、
グレードA |
便潜血検査 |
グレードB |
胃レントゲン 胃カメラ 子宮頚部細胞診 マンモグラフィ |
グレードC |
大腸カメラ |
中高年を念頭に置いていますが、特にグレードA・Bの検診は、各自治体に対して費用を助成してでも広く国民に受診を奨励したいとしています。多くは自治体では検査費用の助成があり安価で受けることができますが、年齢制限が有り40歳未満ではほとんど扱いはありません。ただし乳がん検診・子宮がん・B/C型肝炎ウイルス検査は一部の自治体では助成を行っていますので確かめてください。
事業所検診を受けたあとに
事業所検診を受けたあと、検査結果が渡されます。通常は医師からの結果説明もあると思います。用紙だけ渡されて、何か所見が書かれていたら、結果説明を受けましょう。「要医療・要指導・要精査・経過観察」の判定が出ていて、結果説明がなかったら、一般の医療機関に持ち込んで結果説明や追加検査の相談をすることも可能です。
胃レントゲン 胃の調子が良くなければ、胃レントゲンを希望してみてください。医師の指示が出れば保険診療で胃レントゲンを受診することになります。(費用は数千円です)
胃カメラ 胃がんをはじめとする診断、治療方針の決定になどにおいて、とても重要な検査です。デジタル技術の進展に伴い内視鏡は低価格化と小型化が進み、画像精度は上がり鮮やかな画像に高い評価を行うドクターが増えています。しかしこの検査は治療目的や胃レントゲンやピロリ菌の検査で陽性の場合はともかく、人間ドックや健康診断での胃カメラはよく考えて受診してください。この年代での胃がんの確率は低いにもかかわらず胃カメラの検査精度は施術医による個人差が大きく、死亡事故も含む数千件に1件の割合で重大事故も起きています。(胃カメラは多くの医療機関で施術前に「検査事故時の対応や補償」について同意書にサインを求められます。このあたりの体制のしっかりしている医療施設で受診してください。)
(参考 内視鏡検査を考えるへリンク
ピロリ菌検査 ピロリ菌の感染によって起きる萎縮性胃炎に長年侵されることによって95%の胃がんが起きると言われてります。胃がん患者の99%からピロリ菌が検出されたという報告もあります。ピロリ菌が陰性なら毎年の胃がん検診も不要であると語るドクターも数多くいます。ピロリ菌検査としては便から直接ピロリ菌の存在を調べる抗原検査と、ピロリ菌感染によって体内に作られる血液や尿中の抗体を調べる抗体検査の2種類があります。この検査で陽性なら除菌治療を行います。2013年よりピロリ菌の除菌治療は保険適用になりました。ピロリ菌検査は抗原検査でもネット申し込みで3500円程度です。ピロリ菌検査には血液や尿から調べる抗体検査と、便から調べる抗原検査があります。直接ピロリ菌の存在を調べる抗原検査の方が精度お高く、除菌後の再感染もチェック可能ですが、医療機関ではその場で採取できる尿や血液から調べる抗体検査が多く利用されています。ピロリ菌に感染すると体内で作られる抗体を調べるため、タイムラグが起きたりすることもあります。ピロリ菌陰性の場合、胃カメラなどのリスクのある検査は不要ではないかと主張するドクターも増えています。このあたりは慎重に検討する必要があります。
腹部エコー・頸部エコー 採血で脂質異常・高脂血症の所見があれば希望してみてください。医師の指示が出れば保険診療で費用は各数千円です。
心臓エコー 心電図に所見があれば、一度心臓エコーを希望してみてください。医師の指示が出れば保険診療で費用は各数千円です。心電図は不整脈ははっきりと出ますが、それ以外の心臓の疾患を判断を下すには、かなり微妙な波の変化を見る必要があります。それぞれの疾患に波に特徴が現れるのですが、曖昧な部分もあり、ドクターの技量によっては判断もマチマチです。心臓エコーの検査、これまで受けたことがないのでしたら、受けてみるのも如何でしょうか。逆流など血流の様子、弁の様子しっかりと見てもらうことができます。
胸部CT検査 煙草を吸われる方など、保険診療での受診は難しいかもしれませんが、相談してみるのも良いかもしれません。肺がんの早期発見はこれしかありません。肺炎などもよくわかります。
便潜血検査 大腸がんのスクリーニング検査です。郵送型大腸がん検査ならネット申し込みで2000円くらいで受けることができます。大腸がんの確定診断には大腸カメラの受診が必要ですが、大腸カメラは費用がかかり身体的にもリスクが高いため、早期発見のために繰り返し受診することが難しいため、手軽な検便で調べる便潜血検査で事前チェックし、陽性の場合は大腸カメラなどの精査を行うことになります。
マンモグラフィー お若い方は乳腺エコーの方が良いかもしれません。40才以下でも自治体で助成される場合があります。確認してください。
肝炎ウイルス検査 多くの自治体で無料で調べる事ができます。受けたことがない方は希望してください。肝炎検査で陽性の方は腹部エコーも受けてください。保険診療になります。
【がんの早期発見】がんの早期発見を考えるのなら、がん検診を繰り返し受ける必要があります。どんな高度な検診も、たまにしか受けなければ早期発見は望めません。そのあたりを考慮すると高額な最新の医療機器による検査は、一部の富裕層を除けば意味がないことがわかります。なにか病気を疑う症状があるときは、医療保険が使えます。お忙しい方や、安心を求めて、またこのあたりの検査を「一度に受けたいなら」費用はかかりますが人間ドックを受ける理由はあります。自治体の助成や保険診療でと考えるなら、検診結果説明時に追加検査を医師に相談するなり、要医療や要指導、経過観察となっている結果項目があれば大病院でも紹介状なしで受診できますので、結果表をお持ちになってこれらの追加検査をお願いされるのもよいと思います。
健康診断を受けずに来た方で自費で検診を受ける場合、事業所検診を自費で受けるのがよいかと思います。事業所検診は多くの医療機関で実施されており、競争も激しくネットなどで調べれば比較的安価で実施しているところもあります。(価格は数千円から2万円くらいまで医療機関によって様々です。よく調べて受診してください。)
大腸がんは早期発見で治る病気です。
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増えている大腸がん
毎年、12万人もの方が大腸がんを発症しています。大腸がんの発症は60歳以上の方に多いため、医療に携わる者も含めて若い人は、たとえ症状が出ていても見過ごされがちですが、30代で1000人程度、40代では約5000人の方の大腸がんが発見されており、見過ごせない実数となっています。仕事や子育てに忙しい30〜50代の方々の大腸がんは、高齢者に比べ侵攻が速いことが多く、また発症した時の仕事や家族の生活に与える影響も深刻です。近年、大腸がんは早いうちに見つかれば治る病気と言われていますので、特に早期発見が重要と考えますが、この検査の受診率は高くありません。
私たちは、出来るだけ多くの方に大腸がんの検査を受けていただけるように、運用方法を工夫し、コストを見直して「郵送型の大腸がん検査」を始めました。インターネットを利用し、郵送型とにすることで、何度も医療機関や保健所に足を運ばなくても、手軽にお受けいただけます。検査の信頼度を上げるため、大手の検査機関に検体検査は依頼しています。
多くの自治体で40歳以上の方などを対象に大腸がん検診を実施しています。詳細は、各地の保健センターや保健所などにお問い合わせください。
大腸がんに関するリンク集
*財団法人 日本対がん協会 大腸がん検診の流れとその効果
*大腸肛門病辞典 「大腸.COM」
*科学的根拠に基づくがん検診推進のページ
*特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会「ひろげよう。大腸がん検診の輪」
*がんの統計 - がん研究振興財団